任意後見について
任意後見契約と委任契約の違い
任意後見契約は、委任契約(例えば、土地売買の登記を司法書士に頼む、医者に診療を依頼する等々を「委任」という)が原型です。
よって、委任者(本人)と受任者(判断能力に問題が出てきたときに、契約内容を実現してくれる人)との間の公正証書契約として、法務局に後見登記をしなければならないと法律は定めていますので、 公正証書以外の契約は単なる「委任契約」で、「任意後見契約」ではありませんし、法律の保護を受けることもできません。
任意後見と法定後見の違い
任意後見契約を結んでいると、万一判断能力が不十分な状態に陥った場合、元気なうちに本人が自ら決めた内容を実現させることができます。しかし、何の取り決めもなされていない状態で本人の判断能力が不十分な状態になってしまった場合は、4親等以内の親族が家庭裁判所に成年後見人選任の申し立てをします。
「法定後見制度」による申立の出来る人の考え方により、後見事務については「自己意思」はほとんど反映されない仕組みとなっています。
任意後見と法定後見、どちらが良い?
「自己決定絶対主義」による生前契約の理念や哲学を踏まえて、「任意後見契約」の締結をおすすめしています。
ケガ、認知症などの病い、原因はともかく私たちが「人」として生まれて、生きていく以上、「私は絶対に後見状態にはならない」と断言できる人はいないはずです。
りすシステムでは生前契約受託の条件として、豊かで安心が得られる老後のために、「任意後見契約」を締結していただきます。
任意後見契約代理権目録とは?
任意後見契約というのは「委任契約」、即ち何を、どんなことを頼むかという約束ですから、その約束した内容のことを、代理権目録といい、この目録の出来不出来が、万が一判断力を失い、後見状態になったときの「幸」「不幸」を決する鍵になります。これも法律で作り方が決められています。一号様式と二号様式があり、一号様式は、チェック形式でこと細かく決めることになります。一方、二号様式は要旨をキチンと簡潔に決めておきますので、多少柔軟な対応が可能になります。
後見ノートとは?
任意後見契約で決めることの出来る範囲は「法律行為」といって、「権限」の代理、例えば預金の出し入れとか、不動産を処分するとか、介護保険の利用契約、老人ホームへの入居契約の代理、といった内容のことしか決められません。
老人ホームでも「南向きで日当たりが良く、食事がおいしいホーム」といった文言は、契約書に織り込むことは出来ません。というのは、このような内容は、先に説明した「後見登記」ができないからです。
生前契約で任意後見契約を行う際は、「後見事務履行に関する意思表示書」(略称『後見ノート』)という書類に、美容院には1ヶ月に1回必ず行くなど、生活上のことを記録した文書をコンピューターで管理し、いよいよ後見開始になれば、「後見ノート」によりキメの細かいお世話をすることが出来ます。
後見人には、アタリやハズレがある?
後見受任者を誰に依頼するか?は契約者にとって大きな問題です。民法第858 条(成年後見人の身上配慮義務等)では、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」とあります。しかし、より詳細なガイドラインのようなものはありません。それは、「身上配慮義務」について細かく書けば際限がなく、また書き洩れがあったら、 その部分は後見人の仕事ではない…と考える後見人がいては困るので、一切決めないで、「後見人」の良心と熱意によって、より良い後見事務がなされることを期待しての意図があるようです。しかし、すべての後見人が果たしてその良心と熱意を持ち合わせているとは限らず、契約者にとっては不安なことも多いでしょう。
その点、りすシステムでは、身も心も元気なときからお世話をしたり、心を通わせることができます。かつて元気で素敵だった「時」を知っているからこそ、安心してお任せいただくことができます。